弘前大学大学院 地域社会研究科

令和5年度 公開セミナーの動画配信について

令和5年度に開催した公開セミナーの動画を配信します。

本研究科が実施する公開セミナーは、本研究科の授業内容を、地域住民を対象に公開することにより、地域住民が大学院レベルの専門的知識を用いて、地域の課題解決のための担い手となる人財育成を目的としています。
今年度は、20年にわたり研究してきた本研究科の3つの講座が、それぞれの特徴を活かしたテーマを設定し、講義を実施します。

第1回公開セミナー

令和5年11月7日(火)14:00~16:40(会場・オンライン併用開催)

  1. 開催の挨拶
    森 樹男(大学院地域社会研究科長・教授)
  2. 講座説明(入試・履修等説明を含む)
    平井 太郎(大学院地域社会研究科・教授、講座代表)

講義1「足許の植物から未来を展望する」

講師:勝川 健三(教育学部・教授)
地域文化研究講座 勝川 健三 教授から「足許の植物から未来を展望する」と題した講義が行われました。講義冒頭、勝川教授は本学着任以降、“地域の植物は地域が守る”をキーフレーズに、1.地域に自生する遺伝資源植物の利活用、2.地域植物の生息域外保全、3.農業教育の3つを教育研究活動の柱として掲げていることをお話されました。
続いて、鰺ヶ沢町の植物遺伝資源の利活用としてハマボウフウの調査内容や、板柳町におけるシロバナタンポポの保全プロジェクト活動について紹介されました。

講義2「足許にある文化資源-学校資料―」

講師:大谷 伸治(教育学部・講師)
地域文化研究講座 大谷 伸治 講師から「足許にある文化資源-学校資料-」と題して、弘前市立弘前図書館所蔵の「和徳小学校資料」を用いて、スペイン風邪が流行した1918~20年頃の学校や地域社会の様子を「歴史する(Doing History)」ことを目的として、講義が行われました。
学校資料から当時の感染症(発疹チフス、トラホーム、腸チフス、スペイン風邪など)の流行に対し、症状がある児童の出席停止や流行地域への往来の自粛、衛生面の注意喚起、無料診療所の設置など、コロナ禍と同様の対策が行われていたことが紹介されました。


第2回公開セミナー

令和5年11月21日(火)13:30~16:10(会場・オンライン併用開催)

  1. 開催の挨拶
    森 樹男(大学院地域社会研究科長・教授)
  2. 講座説明(入試・履修等説明を含む)
    増田 貴人(教育学部・教授、講座代表)

講義1 「地域の現状と公共政策の在り方」

講師:蒔田 純(教育学部・准教授)
地域政策研究講座 蒔田 純 准教授から「地域の現状と公共政策の在り方」と題した講義が行われました。
講義では、蒔田先生が地方創生人材支援制度(内閣府)により北海創厚沢部町において地方創生に関する活動を行っていることを事例に挙げ、地方創生における先進的な取り組みは、新しいアイディアを生み出すことであると説明されました。さらに、新しいアイディアを生み出すためには、点と点をつなぎ合わせることが重要であり、点のつなぎ方は1種類ではなく、つなぎ方を変えることより、無数のアイディアが生まれると解説されました。
また、点と点のつなげ方を生み出すには、まずは頭を柔らかくする必要があるとし、クイズ形式で問題が出され、オンラインで参加された受講者からも、興味深い講義であったと感想が寄せられました。

講義2 「データに基づく政策立案とその評価」

講師:花田 真一(人文社会科学部・准教授)
地域政策研究講座 花田 真一 准教授から「データに基づく政策立案とその評価」と題して、証拠に基づく政策立案(EBPM:Evidence Based Policy Making)について、講義が行われました。
本来当たり前に行われるべきものですが、「・・・という意見が寄せられた」、「なんとなくそう思う」などといったエピソードに基づく政策立案や評価がなされ、政策の範囲に偏りが生じるケースや、適切な評価が行われないケースがあることを指摘し、エビデンスに基づき政策立案を行うことにより、より合理的・効率的な政策の実施が可能になると解説されました。
また、AIによる政策形成支援の可能性にも触れ、先入観にとらわれず、総当たり的な分析が可能であるAIの長所を生かし、政策形成においてはAIに「依存」するのではなく、「支援」のツールとして利用すべきであると説明されました。
講義のまとめとして、近年、データに基づく政策立案が進んでいるものの、目的意識に合わせたデータの利用であり、また、データを広く公開することでより価値が高まる可能性があると述べられました。


第3回公開セミナー

令和5年11月27日(月)13:30~16:10(会場・オンライン併用開催)

  1. 開催の挨拶
    森 樹男(大学院地域社会研究科長・教授)
  2. 講座説明(入試・履修等説明を含む)
    黄 孝春(人文社会科学部・教授、講座代表)

講義1 「地域企業と地域社会研究科」

講師:森 樹男(前掲)
地域産業研究講座 森 樹男 教授(地域社会研究科長)から「地域企業と地域社会研究科」と題した講義が行われました。
森研究科長は、これまで本研究科は、地域社会や地域の自治体との関係を構築し、多くの成果を上げてきたが、地域の中堅・中小企業とのダイレクトな繋がりが不足していることに触れ、域学連携から域学・産学連携への展開の必要性について説明されました。さらに、地域住民を取り込み産官学民による地域プラットフォームの構築を目指したいと述べられました。
また、地域企業と大学連携の事例として、信州大学の信州100年企業創出プログラム事業について紹介がなされ、客員研究員の受入を「投資」として捉えることがポイントであると解説されました。
講義のまとめとして、起業家を創出し、起業家が成功するには時間がかかり、成功する確率も低いといわれていることから、地域企業を支援し盛り上げることが、地域活性化の近道になると考え、地域社会研究科として、次世代の経営者人材、現経営者や幹部人材を対象に、持続的発展のための取組を進めたいと述べられました。

講義2 「地域第三セクター企業の経営財務と地方自治体」

講師:加藤 惠吉(人文社会科学部・教授)
地域産業研究講座 加藤 惠吉 教授から「地域第三セクター企業の経営財務と地方自治体」と題して、青森県深浦町とむつ市が関わる2つの第三セクター企業と母体である自治体担当者のインタビューに基づき、財務状況を含む状況を把握した上で、課題について検討することを目的として、講義が行われました。
インタビュー調査では、加藤教授のゼミ生も参加し、詳細な聞き取り内容や貸借対照表等を用いながら財政状況が紹介され、農業生産物産業事業の難しさのほか、予期せぬ自然災害や野生動物による食害の影響、新型コロナウイルスの影響により厳しい運営が続いていると解説されました。

講義3 「地域の課題を協働という方法で解決する:企業・NPO(市民)・行政による協働を通して」

講師:大倉 邦夫(人文社会科学部・准教授)
地域産業研究講座 大倉邦夫 准教授から「地域の課題を協働という方法で解決する:企業・NPO(市民)・行政による協働を通して」と題した講義が行われました。
講義では、企業に地域の課題解決が求められるようになった背景として、地域課題の多様化に伴い、地域や行政のみによる課題解決が難しくなったことや、SDGsや企業の社会的責任(CSR)の関心の高まりにより、多様な技術やアイデアを有する企業に期待されるようになったと解説されました。
また、企業による地域課題への取組として、NPO法人SEEDS NETWORK(弘前市)のキッズハローワークが紹介され、若者の地元定着が課題とされる青森県において、県内企業が賛同し、単独ではなく「協働」及び「連携」という観点から、子どもを育むという地域課題に取り組んでいることについて解説されました。

講義4 「農業をビジネスとして考える」

講師:黄 孝春(前掲)
地域産業研究講座 黄孝春 教授から「農業をビジネスとして考える」と題した講義が行われました。
講義では、農業をビジネスとして捉えて実践している事例が紹介され、その共通点として、経営学的に事業を進めており、経営学の教科書通りに農業ビジネスを展開していることについて説明されました。
また、従来の日本農業は、生業を意味しており、担い手の減少や農家高齢化、後継者不足、どんぶり勘定などネガティブな印象を持つキーワードが挙げられることに対し、ビジネスとしての農業は、農商工連携や6次産業化、スマート農業、地域ブランド、フードチェーンなど新しい農業を意味するキーワードが挙げられると述べられました。さらに、ビジネスとして農業を行う場合は、9つのタイプがあり、それらの特徴について解説されました。

過去の公開セミナー動画はこちら


弘前大学大学院地域社会研究科が運用するソーシャルメディアアカウントは、『弘前大学「公式アカウント」運用方針』に準拠して運用しています。

弘前大学大学院地域社会研究科 案内(PDF) セミナー動画

弘前大学大学院地域社会研究科
〒036-8560 
弘前市文京町1番地
弘前大学教育学部4F
TEL:0172-39-3960
お問い合わせ・アクセス

ページ上部へ戻る