大学院地域社会研究科では、大学院レベルの教育研究分野の学びの機会を提供することを目的として、地域の社会人を対象に、令和4年1月12日、オンラインにて公開セミナーを開催しました(受講者は63名)。
本セミナーは、「人口減少・気候変動時代に人を育てるとはどういうことか」をテーマに、本学教員に加え、神戸大学・教授の中塚雅也氏にご協力いただき、オンラインにて講義を実施しました。
初めに、北原啓司研究科長による「空間を場所に変えるまち育て」をテーマとした講義からセミナーを実施しました。コロナ禍も影響し交流人口の希薄化が地域の持続可能性を不安定にしつつある現状と本当に必要な「関係人口」について解説がありました。また、自分の暮らす街を知り、関心を持つことで地域住民が主体となり「自分たちの場所」づくりに取り組んでいる地区の事例を紹介するとともに、それを次世代へと継承していくための要素について説明がありました。
その後、「場づくりからの展開」をテーマに土井良浩・准教授による講義を実施しました。
町内会・自治会といった従来型地域コミュニティに加え、共通の興味関心を持った集いの場を継続的に運営し、参加者が目標やプログラムを設定していくことの必要性について説明がありました。また、地域づくりにおける市民参加の場づくりの事例紹介があり、今後の場づくりの中心となる若い人達の参加に係る課題と展望について解説がありました。
続いて、神戸大学教授・中塚雅也氏による「人を育てるエコシステム」をテーマにした講義があり、地域の人材不足と育成の難しさについて解説いただいた。
また、人材は地域住民だけではなく、地元の行政・企業・大学等また、地域外の関係する全ての主体が相互に連携しながら育てていくことが望ましく、人々が地域に関わることで幸せを感じ、地域と関わることでキャリアを豊かにすることが大切であると説明いただいた。その後、学内教員とのディスカッションを実施した。
最後に、「データサイエンスは何を育てるのか」をテーマに、花田真一准教授の講義を実施しました。データサイエンスの強みである大量のデータを利用した客観的現状の精密な評価・分析能力とデータの無い部分についての精度が保証されないという弱みについて解説がありました。煩雑な作業にAIを活用しながら、本質的な部分の意思決定は人間が関わることで、人口が少ない地域でも効率的な政策立案や活動が可能になるとの説明がありました。