大学院地域社会研究科では、大学院レベルの教育研究分野の学びの機会を提供することを目的として、地域の社会人を対象に、令和2年11月14日~15日にかけて、岩手県宮古市にて公開セミナーを開催しました(受講者は2日間累計30名)。
本セミナーは、「古代を未来につなげる真の地域学の可能性」をテーマに、宮古市共催のもと、本学教員に加え、岩手県立博物館の丸山浩治氏、宮古市教育委員会の長谷川真氏にご協力いただき、講義及びミュージアム見学会を実施しました。
▲講義①小岩直人教授
1日目は、教育学部・小岩直人教授による「身近な風景から地球の歴史を知る-自然地理学の視点から-」と題した講義からセミナーを開催しました。
私たちが何気なく日々暮らしている身の回りの地形は、様々な地殻変動や環境の変化が長い年月を経て形成してきたものであることを、会場である宮古市周辺や三陸海岸の地形を例に解説がありました。
▲見学会①ガイドの長谷川真氏
その後、宮古市教育委員会文化課・学芸係長の長谷川真氏のガイドによる崎山貝塚縄文の森ミュージアムの見学会を実施しました。
縄文時代の人々が、地域の自然環境や地形の特性を知り、抗うことなく共存することで、長い年月の間、その文化を継続させた歴史は、今日、自然災害や争いに直面している我々に多くのことを教えてくれていると丁寧に説明いただきました。
▲見学会②ショーケースに並ぶ出土品
▲見学会③プロジェクションマッピング
また、ショーケースにアクセサリーのように展示した出土品や、タッチパネルでの解説、崎山貝塚の歴史を映し出すプロジェクションマッピングなど、どの世代も楽しめる新しいミュージアムの見学会は、受講者から「見学時間が短すぎる!」との声があがるほど、大変盛り上がった時間となりました。
▲講義②丸山浩治氏
次に、「古代の遺跡から未来を想う」をテーマに、岩手県立博物館・丸山浩治氏の講義があり、古代の遺跡には、自然災害の爪痕が残る場合があり、その影響や対応した過程を知ることで、これからの地域の未来へ必要なことは何かを考える基礎を得られること等についてご説明いただきました。
▲講義③土井良浩准教授
2日目は、初めに「市民とともに地域の未来を描くアクション」をテーマに、土井良浩准教授の講義が行われました。人口減少下で、市民は“サービスの消費者”から“地域づくりの担い手”への変化を期待されている点を確認した上で、市民の未来への想いを形にしてアクションに変換するための手法や仕組み、市民組織を地域活動や社会課題の解決のプレーヤーとして育てる仕掛けについて、事例を交えた解説がなされました。
▲講義④北原啓司教授
最後に、「ポスト復興から持続可能なまち育てに向けて」と題した、地域社会研究科長・北原啓司教授の講義があり、先ずは、世界中で声高に叫ばれている「SDG’s(持続可能な開発目標)」の実情について解説がなされました。また、東日本大震災で多くを失った被災地が覚悟を決めて復興・そして持続可能なまち育てを進めていること、「地域に見合うサイズの、住民が何等の不足の無い町」にすることこそ真のコンパクトシティであることなどについて事例紹介・提言がありました。